イギリス留学 ワーキングホリデー体験談(アーカイブ)

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ヘッジホッグ、汗と涙のワーホリ物語
「笑顔の再会、冷ややかな再会」
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「ウェルカム!ヘッジホッグ!」
やっと群集の中を抜け出したメリオンとまずは握手をかわした。白い歯を覗かせて、
いつものように大きな眼鏡に首本から肩口にかけてあるスカーフ、そして紺色のブ
レーザー、男勝りの素振り、全てが去年12月と変りが無かった。唯一、違う点とい
えば、気持ち髪を切ったぐらいだろう。おかげで余計に男っぽく見えるのであった。

「どうしたんだい?いつものへッジホッグヘアーじゃないじゃないか。」
(へッジホッグヘアーというのは、ツンツンに立てた髪型のことである、この時は随
分と髪が伸びていた。)
「いやぁ、直ぐにご期待に添えれるように髪を切ってくるよ。」
そんな談笑をしていると、僕の周りに知った顔ぶれがぞくぞくと集まって来た。先生
のジェラルド、リネッタ、クリスティーン、韓国人でジンハーンの大学友達ヒジュ
ン、そしてブラジル人のウォルーター。みんな懐かしい面々だった。しかし、僕のお
目当ての子はどうもまだ来ていないようだ。(どうしたんだろう......)受付け、学
費と寮費、教科書の受け取りを済ませたら今日は帰ってよかったのだが、結局終始、
僕の一押しだったモニカの姿を見ることが出来なかった。

帰りの道の途中、僕はジンハーンなら知ってるかもしれないと思い、モニカについて
尋ねてみた。といのも、彼は僕が日本に帰っている間、モニカと同じクラスで勉強し
ていたからだ。
「モニカの姿を見なかったけど、どうしたんだろうね。」
するとジンハーンは、何事もないように普通に答えた。
「あぁ、あの子なら母国ポーランドに帰ったよ。」
「えっ?帰っただって。なんで帰っちゃうの?!」
そんなことジンハーンに聴いたところで、モニカじゃない彼が知っているわけがない
のだが、この怒りをぶつける場所がなくてたまらず言ってしまった。しかし、そんな
愚問も彼は嫌がることなく丁寧に答えてくれた。
「すまない、ヒロ。僕にもわからないよ。ただね、女友達から聞いた話だけど、また
イギリスに戻ってくると言っていたらしいよ。それが、ここか、ロンドン市街か郊外
か、それともスコットランドの方かわからないけどね。」
帰ってくるのはうれしい話だが、イギリスのどこかだなんてもう会えないという事
じゃないか。すごい辛そうな顔を僕はしていたのだろう。ジンハーンは励ますつもり

「なぁに、またいい子が学校にやって来るって。」
と言ってくれたが、振られたときに男友達が言う慰めにしか聞こえなくて残念ながら
なんの効果も無かった。続けざま彼は、突拍子もない事を言い出した。
「モニカさぁ。俺のこと嫌っていたんだよなぁ。」
今度は僕が励ます言葉を言う番か。
「そんなことないんじゃない。」
元気が無いせいか、気持ちの無い言葉である。しかし、彼の言葉がまんざら嘘ではな
いのは僕は知っていた。

昨年12月、最初の月曜日。前の日に、コロンビアの友達セザルとボッタクリバーに
ひっかかりひどい目に遭ったので、ジンハーンが慰めとばかり学校帰りにビールを4
本買ってきて一緒に外で男二人で飲むことになった。とはいえ、外は風が冷たく寒い
寒い夕方。学校近くの公園のベンチに腰掛け、M&M'sにバドワイザーという取り合
わせで飲みはじめること2時間。気が付くとビールはもう一本、もう一本と増えてい
き、場所を移して学校で飲んでしまっていた。しかも、プライベートキッチン。ここ
は、女子寮と一緒になっていて普通の一般の生徒は決して入ってはいけない区域と
なっている。さらに、この学校自体クリスチャン関係の所なので教会とも一緒になっ
ている。クリスチャンにとって教会でお酒なんてとんでもない話である。しかし、お
酒の力は怖いものである。もう、何もかもお構いなしである。しかもとんでもないこ
とに、キッチンで他の生徒が作って置いておいたパスタを「毒味やら、試食」とかむ
ちゃくちゃな理由付けしてつまみ食いし始めた。そこへ、なんと、あのモニカが現れ
てしまった。彼女もこの女子寮に住んでいたのだ。

「なにやってんの!ここは女子寮でしょ!」
慌ててキッチンを飛び出した僕らは教室につながるホールへ逃げ込んだ、つもりだっ
たが、それは僕だけであったようだ。"ようだ"というのもここから一部、僕の記憶は
まったくないからだ。この後の話しは、後日その様子を見ていた女子寮の人達から聞
いた話にもとづいて書く事にする。ホールにかけこんだ僕はまだ残ったお酒をこりず
に飲みつづけたらしい。そして、ジンハーンは逆にお酒の力を利用してモニカに絡み
出したという。その悪態にたまりかねた寮のみんなは、近くに住む学校の先生を呼び
出し、なんとかしてもらおうと考えた。結局、バイブル(聖書)スタディーを教えて
いる韓国人の先生が現れて、ジンハーンと僕は別室に連れてかれたという。お茶を
作ってもらえたようで、温かいイングリッシュティーをすすっているときにやっと我
にかえった。韓国語で二人がベラベラ話しているのをただ聞いているだけだが、"モ
ニカ"と"ヒロ"という言葉だけ聞き取れたが、後は彼がどう先生に弁解したかはいま
だにわからない。唯一、解ったのは、明くる日モニカが僕の教室の前で立っていたの
で丁重に謝ると、「いいのよ、気にしてないから。」
と笑顔で返してくれた。僕がホッとしていると、続ける様に
「それにしても、あの韓国人の男の子は危険よね。今後、気を付けて接しなきゃ。」
そう言い残して、再びニコッと微笑んで去っていった。その出来事以来、どうやらモ
ニカはジンハーンを要注意人物としてみていたようだ。


学校始まって1週間経ったある日、いつも午後からの授業を取っていたが、昼からこ
ちらで言う職安に行くため午前中の授業を取ることにした。すると、休憩時間になん
と、あのモニカが現れたではないか。僕はその偶然にボーとしてしまったが、すぐさ
ま我にかえり、話しに行こうと近づこうとすると、彼女は一度こっちを見たがプイッ
とそっぽを向き去ってしまった。ただただ茫然するだけだったが、なんでそっぽ向か
れなきゃいけないんだよとだんだん腹が立ってきた。まだ、あの出来事気にしてるの
かなぁとは思うものの、何も無視しなくても。

その帰り道にジンハーンに今日のモニカについて怒りをぶつけると、彼は再び同じ台
詞を一言。
「また良い女の子が、やってくるって。」
しかし、事実上あのときがモニカとの最後の面会となるのであった。

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