イギリス留学 ワーキングホリデー体験談(アーカイブ)

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ヘッジホッグ、汗と涙のワーホリ物語
「自転車はつらいよ」
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「さぁ、起きて起きて全国的に朝だよ。」
某お笑い芸能人の声で僕は、否応無しにも起こされた。その男性のくせに高い女性の
ような声、本人には悪いが、いつ聞いても寝覚めの悪いものである。その目覚まし時
計は、キャンペン中にくじで当たったもので日本からこっちに経つ時に一緒に持って
きたものである。朝は弱い方なので、このやかましい目覚ましは僕をデッドラインか
ら何度も救ってくれた恩人なのかもしれないが。

この日、新しい家に移って初めての仕事となる。といっても、これで出勤は3日目で
ある。今日から毎日、働くのである。早朝5時に起きて、シャワーを浴びて、朝食を
とり、着替えて自転車の準備をする。家を出るのはだいたい6時頃。そこから30分
から40分の道のりを自転車で通うわけだが、少なくとも僕の地元よりも坂がないだ
け、この30分以上の自転車の旅は楽に感じられる。まだ、朝ぼらけの空を見渡しな
がら進むのもなかなかいいものである。

ただ一つこの国の自転車事情の難点は、歩行者道路を自転車は進んではいけない事で
ある。歩行者道路と車道の間に設けられている自転車専用道路、もしくは車道を車と
併用して通らなければいけない。その怖いといったら怖いこと。車はビュンビュンと
自転車に乗っている僕をギリギリで追い抜いていく。下手したらひかれるんじゃない
か、といつも思ってしまう。さらに、バスである。ロンドン内を走るダブルデッキ
(二階だて)バスが、自転車優先
道路を走っていても平気で横付けしてくる。道とバスに挟まれるんじゃないだろう
か、と何度も思わされた経験がある。また、後ろからぼって来る不逞運転手すらい
る。もちろん、彼らにとってみればバス停が歩行者側に設けてある以上、自転車優先
道路だろうと侵入せざるをえないのだが、もう少し無防備なドライバーもケアして欲
しいものである。

そういう危険な状況に追い込まれると、たいてい僕は歩行者道路に逃げ込む。ここな
ら、車の餌食になる心配がないからである。ところがだ、歩いている連中が、今度は
ブーブーと文句を言ってくる。ひどいインド人になると、わざと道の堂々と真ん中を
歩いて、独立開放運動のガンジー気分で無言で抵抗して来るものすらいる。ここまで
来ると、こちらから降参するしかなく車道に逃げるのであるが、するとさっき起こっ
た危険な目に繰り返し悩まさられるのである。

ある日、いつものようにダイハードな自転車の旅をしていると、僕の視界に疾風のご
とく道の真ん中を通り抜けていく物がみえた。それは、間違いなく自転車である。イ
ギリス人の自転車ドライバーであったが、道路のセンターラインをこちらも堂々と
通っているではないか。僕は初めて見るそのずうずうしい光景にひとつ大事な事が
はっきりわかった。この国は、遠慮していたらやっていけないんだ。だから、多くの
ひとが平気で自転車路に車を一旦駐車させたり、信号のある交差点で信号が赤になる
瞬間に渋滞の中につっこんで真ん中で止まってしまい、進行する車の邪魔をすること
ができるのか。(もちろん運転の下手な人もいるだろうが。)

それでも、僕はこういった真似はできない気がした。
「他人を気にして乗ってられるか!」
なんて言う人がいても、僕にはあの名文句が思い浮かんでしまう。
「それをいっちゃぁ、おしまいだよ。」
やはり日本人は、日本人である。

この国に来て、もうひとつ気が付いた事がある。それは手信号の存在である。通常、
日本なら自転車に乗って歩行者路を走っている分には、わざわざ左手を上に上げた
り、横に伸ばす必要はない。しかし、この国のように車道で走らざるを得ない場合
は、それは必需品とされる。かくして、僕は小学校の交通安全講習以来の手信号を使
うはめとなった。こう考えれば、あの無駄に思えた交通安全講習も実は僕にとって大
きな意味があったことなる。
そう、"ありがとう、学校教育様様なのである"。

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