イギリス留学 ワーキングホリデー体験談(アーカイブ)
ヘッジホッグ、汗と涙のワーホリ物語
「言えなき子」
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7月に入り、いよいよ夏盛り。と言いたいが、暑い、暑い日本のイメージとは違っ
て、こちらはむしろ日本の春といったところだろう。あたたかい小春日和。それがイ
ギリスの夏である。
仕事の方も徐々に慣れはじめ、どのように梱包すればいいのか頭よりも体が先に動い
てできるようにまで成長していた。もちろん小物だけ取り扱い、家具など大物は英人
作業員に全て任せてはいたが。英人作業員もあまり僕ら日本人作業員に期待していな
い様子であった。
日本人作業員は自分を含めて3人いた。みんなバラバラにいくつかの英人が運転する
ローリーに乗り込んで各引っ越しする家庭へと向かう。ある時は、ロンドンの都心。
またある時は、オクスフォードやケンブリッジ。さらに、カーディフ近くのスウィン
ドンの方までこのN社ロンドンブランチはカバーしている。
おかげで、いろんな所を車窓から見ることができる。高速からテムズ川を挟んでウィ
ンザー城を見たり、イギリス発祥のクイズ番組「ミリオネア」のホストを務めるクリ
ス=タレントの大豪邸を見たり、残念ながらベッキンガムハウスことベッカム邸はお
目に掛かれなかったが、とにかく普通の旅行では見られない風景を楽しめた。
その反面、その移動中に僕らは、あるタスクが課せられていた。それは、トーキング
である。彼ら作業員は運転中、とにかく喋る。ほんとうにみんなお喋り好きである。
そこにきて、日本人というのはどちらかと言うと、黙っている方でありたまに寝てい
たりする。すると、彼らはその都度嫌味を言い出すのである。
「日本人は、運転もしなくて作業だけで俺たちと同等の金をもらっていやがる。」
そう言われると、こちらも癪にさわるというもので、しゃべってやろうじゃないとい
うことになる。しかし、このネーティブの早いかつ癖のあるコックニー(ロンドン)
アクセントを聞き取るのは容易のことではなかった。さらに、スコットランドから流
れてきた下請け作業員、ミッドランドあたりのマンチェスターからやってきた流れ者
などが集まってきているので、いろんなアクセントがゴチャゴチャで飛び交う。学校
では習わないような、生の英語を体験できるのはいいのだが、そのあまりにも違いす
ぎる外の世界に慣れる方で精一杯になってしまう。だから、しゃべりたくても聞き取
れないから喋れないというもどかしい気持ちになってしまう。まさに「言えなき子」
状態なのである。それでも中には、分かりやすく話してくれる作業員もいたので、彼
らは僕にとって唯一のオアシス的存在であり、その時は進んでいろんな話しをして英
語を使った。仕事帰りに、パブへ一緒にいったりしてビール片手に英語を学んだりし
た。
その介あって1ヶ月過ぎた頃には、英語の聞き取る能力と仕事で使わざるを得ない責
任感から喋る能力がグ―ンと伸びる事ができた。最初、分かりにくい英語を思ってい
た作業員のほとんどが聞き取れるようになった。それでも、数人は聞き取れない連中
がいた。
ある日、パブで英人作業員にその聞き取れない連中の英語について話すと、
「あいつらは、俺達も聞き取れないときがある。」
と言っていた。それで、少し胸につかえていた物がスッとした気になった。英人に分
かりづらいものがネーティブでない者が短期間に完璧にしようとする方がムリなので
ある。洋楽の英語歌詞でも、英人自身でも聞き取れない物もあるというくらいなの
で、英語を本当に理解するというのはどこまでが完璧なのか考えてしまう。とはい
え、地道に勉強を重ねる事、それが本当の近道なのである。
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