イギリス留学 ワーキングホリデー体験談(アーカイブ)
ヘッジホッグ、汗と涙のワーホリ物語
「Working for living or Living with working ?」
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ロンドンのピカデリーサーカスには、週末に限らずたくさんの学生や観光客によって
群れかえしている。その中に日本人の顔がちらほら見える。彼らは、交差点のHMV
とバーガーキングに面したエロスの像でワイワイ言いながら賑やかに写真を撮ってい
る。日本人らしいそういった光景を仕事中のトラックの車窓から見ると、僕はふるさ
との懐かしい風を感じるのであった。
「自転車、積んでこれば良かったな。次は、行く前に自転車乗せるんだぞ。」
仕事を少し早く終わった僕らは、一人の作業員からこう言われた。作業員連中は、朝
8時から16時のシフトで働いているので、早く仕事が済んだ場合は、みんなで昼飯
を食べに行っている。僕の場合は、時間給で働いているのでそのまま家の近くで降り
ても構わないのであるが、自転車でいつも通勤しているのでそんな分けにもいかず、
いつも事務所に戻っていたのだ。そして、この一言が出たという事は、僕とこの作業
員連中との壁が徐々に無くなってきている証拠でもあった。
イギリス人というのは、なかなか初対面から親しくしてくれない。どちらかという
と、なんか一歩引いた感じで、こっちが困っていても直ぐには助けてくれない。なに
やら日本人に似ているような気もするが、どちらも島国なのでそれ故なのかもしれな
い。
「しかしよ、なんで俺達は残業しちゃぁいけなくてよ、オフィスで働く日本人は残業
が許されているんだよ?」
相変わらずの、会社の愚痴が始まった。僕はその時はいつも連中の見方をしてあげる
ように心がけていた。一人の作業員がいう。
「だいたいよぉ、なんで日本人というのは、いつも遅くに出勤して夜も9時過ぎまで
働くんだ?それじゃぁ、何も意味がないじゃないか。朝、早くに出勤して、夕方4時
か5時に終える。その脚で家に帰って、庭の手入れしたり、家の壁のペンキ塗りだっ
てできる。でもよぉ、朝遅く起きて夜遅くまで仕事したって、家に帰って寝るだけだ
ろ。やっぱ
り、意味がないよな。なぁ、ヒロ?」
僕に意見を求めてきた。僕はすかさず、
「確かにそうかもしれないね。」
と、日本の社会風習は心得てはいるものの、イギリススタイルに肩入れしてみた。そ
のコメントを聴いて彼らのトークはさらにヒートアップした。
「日本人はよぉ、有給を使わずに金を貯めるだけ貯めて、老後のための貯蓄とかいっ
て使わずにせこせこ働いて、何が楽しいんだぁ?だってよ、そのままその金を使わず
に終わっていくかもしれないのに。でも、俺達は違う。稼いだお金は、毎年ホリデー
のために使うんだ。この夏はスペインに行くし、以前はフロリダに、その前はサン
ディエゴに行ったんだ。」
「ということは、明日の自分を全く気にしてないの?もしも何かあったらどうするつ
もりなの?」僕は、ちょっと質問をしてみた。それを聴いた彼らは、ため息をついて
苦笑した。
「何言ってやんでぃ!!馬鹿じゃないか。明日の自分だと。この帰りに事故に遭うかも
しれないし、不治の病になるかもしれないのに明日のことなんて考えられるかよ!」
そういうと、ドライバーは「例えば...。」と言い、高速道路の大きなカーブを思
いっきりスピードを出してガードレールすれすれを走り出した。僕は、慌てて、
「わかった、わかった。君らの言う通りだよ。だから、やめてくれぇ!」
必死に叫んだ。作業員連中は、僕の慌てた様子を見て大笑いしだした。相変わらずな
がら、僕をからかって楽しんでいるのである。
会社に戻った僕は、オフィスへ仕事の書類を届けに行った。そこにはたくさんの日本
人が机に向かって電話を応対に明け暮れていた。もう時計の針は4時に近づこうとし
ていた。誰一人として帰り支度する様子もなく、せっせと働いている。日本そのもの
の社会がここには形成されている。
"生きるために働くのか、仕事の為に生きているのか。"
貨物倉庫から英人作業員連中の帰りの身支度をしながら自分の子供の話題で盛り上
がっている声が聞こえる。僕はこの極めて両極端な図柄に大きな葛藤を感じた。もち
ろん、どちらが正しい生き方とも言いきれないのだが...。
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